彼がベルギーに来たのは2005年、19歳の時だ。英語も話せないし、当然ベルギーでは母国語のチェコ語も通じない。ドビー監督は彼がホームシックにならないよう最善を尽くし、信頼できる友達の家庭にホームステイさせた。
それから5年。自分で住む家を借り、ベルギー人の彼女を見つけ、私生活でもベルギーに馴染んでいる。ベルギーのTV局のインタビューで、一生懸命にオランダ語で答えている姿がベルギーの自転車ファンのハートを掴み、親しみを込めて「スティービー」と呼ばれている。
しかし何より彼に対し多くのベルギー人が親しみを感じ、ファンとなり、支えているのは、彼の人柄によるところが大きい。もちろん、プロスポーツ選手であるからには結果も大事だ。というより、結果は残して当たり前。それ以上の存在となるにはやはり人柄であり、それは国境を越えても感じるところは同じなのである。
世界選手権開催の10日前。Fideaのチームトレーニングに足を運んだ。待ち合わせ場所のホテルの駐車場に僕とスティービーがほぼ同時に到着。僕はちょっとタイミングをずらし敢えて20mくらい後ろを歩いたのだが、ホテルのドアを開けて僕が来るのを待っていてくれた。10日後に世界チャンピオンになる男がわけの分からないアジア人に対してもきちんとしたマナーを持って接してくれた。
昨今の日本のプロスポーツ界もマナーが取り沙汰されている。サッカー、相撲、スノーボードetc.。僕自身、決して行儀のイイ方では無かったし「お利口さんになりなさい」なんて言いたくない。しかし個性とマナーを履き違えてはいけない。