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FEATURE
「冬の装い」

ロードバイクのハイシーズンはどう考えても5月だろう。この新緑の季節はもっとも気持ちがいいけれど、冬のライドも捨てたものではないと思う。むしろ、真夏よりも走りやすい気がする。

とはいえ1月は最も厳しいが、2月はなればあたたかい日もあるので、花粉さえ気にならなければ、なおよろしい(走っているときはなぜかクシャミが治まる。これは私だけではないはず。身体のシステムにこの高強度運動がなんらかの作用をしているのだ、と推測しているが)。3月になれば三寒四温、走っているときは半袖でも問題がない小春日和を楽しめる。

しかし朝、暖かい家から出てからの10分間は苦痛が伴うだろう。
この間だけ寒さに耐えれば、ペダリングによって身体は燃焼し、ウエアによって保温される。
FEATURE
最も冷えるのは指先とつま先。そして首、耳。指先の冷たさは時代が変わって、最新アイテムを用いても寒いものは寒い。これを克服するのが永遠のテーマでもある。いまの所は、防風素材のグローブの中に、伸縮性に優れた薄手のインナーグローブを組み合わせてしのいでいる。ブレーキタッチや変速操作に支障がないなら、手だけは、これでもかと厚着したい。

顔は寒さに強い。デリケートなようで案外鈍感なのが顔だろう。耳も身体が温まってくると、冷やしたくなる。さしずめラジエーターか。首は冷やすと骨まで冷える感じがする。バンダナを首へ巻きつけたり、専用のネックウォーマーを着用するだけでかなり改善できるのでお薦めしたい。
反対に暑いのは背中だ。日光を浴びるし、なにより風を受けないので蓄熱しやすい。冬用ウエアの背面に防寒設備は必要ないと思うのは私だけだろうか。

いくら寒くてもほどほどまで気温が上がる都内の話なので、寒さが厳しい地方の方には参考にならないのが心苦しく思うけれど、ご了承願いたい。

しかし都内といえども朝方に走っているとボトルの水が凍ることがある。これは体感温度がマイナス温度ということだろう。さすがにこれは寒い。顔は真っ赤に、まるでスキー場で一日じゅう遊んだようになる。つま先は感覚がなくなるまでが勝負、なくなってしまえばあまり気にならなくなる、と言うと語弊があるが、帰宅してから温水でもみほぐす快感を知っていると、なんとなく耐える理由になる。
FEATURE
自転車の性能だけでなく、最近のウエアは本当に具合がよい。そんな高性能ウエアでも熱を集めるためかブラック基調でシンプルなものが多い。いつも同じ色調では、せっかくの貴重なライディングがもったいない。薄手のアウターなら、半袖ジャージの重ね着をしてコーディネイトしてもいいだろう。

10分の苦行に耐えれば、あとはライディングを楽しめる。自転車にオフ期間が必要なのは職業のプロだけ。我らホビーは、走ることができる時間は限られているので精一杯走りたい。春まではあとわずか、逆に冬を楽しめる時間も残り少ないのだ。

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山本健一(やまもとけんいち)
自転車乗り。編集・ライター。自転車専門誌の編集・ライターが生業。昔、ちょっとだけレースをかじっていた経験あり。とはいえ成績はいまひとつ。
1976年生まれ。身長187cm、体重70kg。足のサイズは29cm。

写真家:和田やずか
1975年生まれ・千葉県出身。
97年よりツール・ド・フランスをはじめ世界の主要レースを撮影。代表作にエウスカルテルチームに帯同した写真集「R」、「f」がある。専門学校東京ビジュアルアーツ・写真学科スポーツゼミ講師。
   
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