Hashikawa goes to Africa
いつもはベルギーにやってきた話題を中心にこのコラムを書かせてもらっているが、今回は3月26日から4月4日までアフリカ大陸のモロッコで行われたレースについて書いてみたい。
Hashikawa goes to Africa である。チームユーラシアの兄貴分であるチーム ニッポがツールドモロッコに参加するにあたり、ニッポのゼネラルマネジャーである大門さんより「モロッコのレースにニッポの監督して行ってくれないか?」と打診を受けた。ちなみに、僕はニッポに正式な監督としてUCIに登録されているので、ニッポの監督で働くことについては何の問題も無いのである。
しかし、これまでアフリカには行ったことはないし、出発まで2週間を切っていたので、不安はあったものの、「行きたい!」という気持ちになっていた。一晩だけ考え、行くことに決めた。事前に渡された書類は、レースの日程表と選手のエントリーリストのコピーだけ。初日に泊まるホテルの場所も、現地でコンタクトを取るべき連絡先も何も分からなかったが、空港に着いたら現地の主催者がピックアップに来る手はずになっているという。
一抹の不安を感じつつ、それを「大丈夫、大丈夫・・・」と自己暗示をかける事で頭の中から消し去り、シャルレロワの空港からカサブランカ行きの飛行機に乗った。しかし、空港に着いてみると「一抹の不安」は的中してしまった。誰もいなかった。しかもここはアフリカ、モロッコ。ニッポのメカニックに滞在先ホテルの名前を確認し、それだけを頼りに、人づてに道を聞きながら、なんとかチームに合流する事ができた。
到着直後から災難な事が起きたが、モロッコの滞在中は2日に一回は「キレル」ほど、理不尽な事だらけだった。ペナルティは受けるし、選手は落車に巻き込まれるし、場外乱闘で襲撃を受けたり、レース当日の朝になってもスタート時間が分からなかったり...とにかく理不尽な理由により、あり得ない事だらけのツールドモロッコだったのだが、その多くの事は「ここはアフリカだから...」で片づけられてしまった。
それでも個人総合優勝したクロアチア、個人総合2位、団体賞、ポイント賞を獲得したアメリカのチームなどはきちんと実力を発揮し、各チームとも100万円ほどの賞金を獲得したらしい。
ところで、日本のレースやチームの組織の運営方法はすばらしく効率が良い。しかし、その中で育った選手たちは逆境に弱い。寒いだの、暑いだの、水が口に合わないだのと言っているようでは、まだまだである。強い選手は、いかなる環境でも実力を発揮する。逆を返せば、どんな逆境でも実力を発揮するのがプロと言えるだろう。
良い環境ばかりが選手を強くするわけでもないのである。アフリカでのレースを経験し、あらためてこのように感じている。
橋川健(はしかわ けん)
チーム ユーラシア - ムセウ バイクス 監督
ベルギーでアマチュア4年、プロ7年、合計11年の競技生活を送ったのち、昨年か らベルギーに移住。選手たちのサポートを行っている。最近の悩みはまた走りた くてウズウズしてきた事。1970年生まれ。身長180cm、体重70kg。足のサイズは 28cm。山本君とは兄弟と間違われる事も・・・